板金・塗装

板金

板金とは「金属を板状に薄く打ち延ばしたもの」や「金属板を加工すること」を意味します。特に車の修理工場などでは、板金と塗装を組み合わせて「板金塗装」と呼ぶことが多くあります。車における「板金」は、主に事故など衝撃を受けてへこんでしまったり、経年によって老朽化・変形してしまったりしたボディーを修理して蘇らせる技術を言います。その工程で塗装を剥がすことがほとんどで、作業後は塗装して元通りにすることが多いことから「板金塗装」を掲げているという訳です。もし板金の技術がなかったら、へこんだり、変形したりしたパーツを修理するには丸ごと交換するしか方法がありませんので、板金の技術は修理費用を抑えるためにも欠かせないものです。ただし、すべてのケースで板金できる訳ではありません。アルミは板金が難しいと言われていますし、板金よりも丸ごと交換した方が良いとされるケースなどもあります。

塗装

車の塗装は一度塗るだけでは不十分です。美しい見た目に仕上げることはもちろんですが、車の耐久性を高めるために、合計4回に分けて塗装を繰り返してカラーを仕上げています。一番はじめに行う工程が「下地」です。これは塗装のベースになるだけではなく、防錆効果を生み出すためにも必須になります。最初に防錆用の塗料を使って塗装し、その後に2回目以降の塗装につながる塗料を塗るという流れになります。下地の段階では、ボディカラーとは無関係の色を使うことが一般的です。この段階で最終的に目指す色を塗ったとしても、さらなる上塗りが行われるため意味がありません。グレーなどの下地用塗料を塗布し、次の工程に備えます。2回目の塗装は「中塗り」と呼ばれます。これも最終的な仕上がりに関わる重要な工程ですが、仕上げのための塗装というよりは、3回目に行う「上塗り」の補強をすることを目的に行われる、いわば準備段階の塗装になります。中塗りで仕上げ用のボディカラーの塗料を使用するかどうかは、技術者の判断次第で異なります。一般的には最終的なカラーと同じかそれに近いカラーを使って塗装しますが、下塗りと同じようなカラーが継続して使われることもあります。完成形として行われる塗装が「上塗り」です。最終的に仕上げたいカラーを用意して、車を塗装していくことになります。ここまでに行われた下地や中塗りの作業は、上塗りのために行われたものといっても過言ではなく、上塗りはとくに丁寧に行われます。塗装がきれいに仕上がるかそうでないかは上塗りにかかっています。ここで色ムラになったり、ミスを犯したりしてしまうと美しくは仕上がりません。とにかくセンスが問われる作業です。上塗りの段階でベースは出来上がっていますが、最後の仕上げとして行われるのがクリアです。耐久性を高めるためや、塗料の酸化を防ぐこと、そして滑らかにすることを目的にクリア塗装が最後に行われます。塗装がソリッドであれば、基本的にこの作業は不要です。しかしソリッドに対してもクリア塗装を行ったほうが耐久性は上がり、ツヤのある仕上がりになることも事実です。より上質に仕上げたい場合は、ソリッドでもクリアの工程を取り入れましょう。

鏡面を超える質感の実現を目指して

鏡面仕上げの原理はいたってシンプルであり塗装面の微細な傷や塗装のうねりを最小限にしミクロな世界で塗装面をより平らにすることによって光の乱反射を防ぎ光沢感を増しているだけです。基本的に塗装面を平らにする作業なので必要なのはサンドペーパーやコンパウンドなど塗装を研磨するものです。

当社では研磨作業のみならず、板金・塗装の工程で表面の凹凸を可能な限り減らし、ワックスなどコーティング剤に頼らず鏡面仕上げを超える仕上げを目指しています。

作業工程

検査・見積もり

車の外観や内部破損を調べお見積もり

まずは施工前に、「板金」作業を伴う修理が必要となる状況かどうか、その損傷具合をチェックします。お客様から問い合わせ、相談を受けたら、まずは車を確認し、その損傷具合をチェックします。状態をまず見なければ作業ができませんから、凹みの具合を全般的にチェックし、表面あるいは裏面からアプローチが可能かどうかも含めて確認します。

板金・溶接・部品交換

板金作業に入ります。破損がひどい場合やお客様のご要望で新品の部品を取り寄せます。

表面からのアプローチが可能であった場合は、そのまま外装の表面から専用の工具を使って物理的に叩き、凹みを解消し正しい形へ成形していきます。もし裏面の凹みに対して表面からの直接的なアプローチが難しい場合、物理的に職人が叩き出せない場合には、より込み入った方法で凹みの解消に取り掛かります。こうした金属を叩き出す板金作業を行っていると、金属は伸展作用がありますから、その衝撃によってどうしても伸びてしまいます。金属が伸びてしまうと頑強性が落ち、押すと凹んだまま元に戻らないなどの弊害が出てしまうため、その解消を行うために加熱して絞る、いわゆる「絞り」という作業を実施します。

下地処理

下地処理は研磨作業、下地の塗布・乾燥、下地の研磨・足つけを行います

傷は専用のヤスリや研磨紙で削り落とします。その後エアブローをかけ、表面に残った細かい塵を吹き飛ばします。その後研ぎ終わった塗膜に対して専用の塗料をコーティングし、再度全体を研磨していきます。研磨が終わったら、下地を塗るためのマスキングを行います。マスキングは養生テープや専用のビニルシートなどを用いて実施します。その後、下地を塗る範囲の表面の油を取る「脱脂」を実施します。脱脂後、下地を合計2回塗布します。下地を塗り重ねたら、塗布した表面にキズがないか、歪みがないかを再度確認します。傷や歪みがないことを確認できたら、マスキングを外し、ヒーター等を使って表面を乾燥させます。下地も含めて、塗料を塗った後は乾燥が必須となります。

塗装・仕上げ磨き

カラーベース、クリア塗布と仕上げ磨きを行います

基本的に塗装は希釈した塗料を複数回塗り重ねる事によって本来の色へと染めていきます。この際に塗布する塗料を「カラーベース」といい、カラーベース塗布時、最後にカラーベースをぼかすように全体になじませます。カラーベースを塗布後、乾燥させ最後にトップコートである「クリア塗装」をします。塗装は基本的に塗装をしたら乾燥させ、塗り重ねたら再度乾燥させ、といったように「セッティングタイム」という乾燥時間を作業中に挟む為、時間が長くかかります。塗装が終わったら、仕上げ磨きと呼ばれる作業を行います。塗装面を冷却し、再度マスキングを実施します。マスキングをしっかり行ったら、塗装面の細かい塵芥を取り除き、肌調整を行います。専用塗料を塗り込み研磨目を消したら、専用のスポンジを用いて全体を磨いていきます。最後に仕上げ用のスポンジを用いて塗装面の仕上げ磨きを実施したら、塗装作業は完了です。作業後はしっかりと洗車し、無駄な汚れを全体的に取り除いて綺麗にして、お客様へ納車致します。